2009年3月13日金曜日

平成21年3月13日 末期ガン克服への挑戦

世の中は時々刻々と変化しています。一人一人を取り巻く環境もやはり変化しています。人の一生もひとつの川の流れのようなものかもしれません。あるときはゆっくりとあるときは激しく流れながらも海を目指して川の水は流れています。激しく動き回る水ばかりに目をとらわれていてもマクロな目で全体を見なければその水が創りだす鮮やかな形を見ることも楽しむこともできません。この時々刻々と変わる日々の動きをプログという形で書きとどめてみたいと思いました。願わくは、鳥の目とアリの目で行き来しながら、鮮やかな人生の流れを眺めることができればうれしいなと思います。
 今日は第1回目です。いま、酵素消化低分子フコイダンなどの機能性食品あるいは機能水によるガン克服という大きなテーマの研究に取り組んでいますので、その研究のきっかけについて書いてみたいと思います。
 私は昭和48年(1973年)3月九州大学農学部を卒業し、4月九州大学大学院農学研究科食糧化学工学専攻食糧化学研究室に入学し、1978年3月に博士課程を修了しました。大学院での研究テーマは食品中の抗ガン物質の作用機構を調べることでした。当時、食糧化学教室の教授であった大村浩久先生はビタミンCの抗腫瘍活性を調べていました。また、助教授の村上浩紀先生は熊笹の抽出液がガンに効くという民間療法に着目し、その成分であるリグニンというポリフェノールが遺伝子を傷つけてガン細胞を殺すという仕組みについて研究していました。私は複雑な構造をもつリグニンの代わりに、単純な構造をもつカテコールや生体に存在するカテコールアミン類の遺伝子損傷機構を調べました。カテコールアミン類と銅イオンが反応して活性酸素種やフリーラジカルが発生し、遺伝子を部位特異的に切断することが分かりました。当時は米国のライナス・ポーリング博士(ノーベル化学賞と平和賞を受賞)がビタミンCを大量に摂取すると、風邪の予防やガンの抑制に効果があるというメガビタミン療法を提唱していました。しかし、食品成分で病気を改善したり克服したりできるということは一般にもまた科学の世界でもまだ十分受け入れられていませんでした。
 これらの研究は食糧化学研究室の初代教授であった山藤一雄先生の研究の流れをくんで行われていました。山藤先生は蚕の多角体ウイルスが感染ではなく、もともと正常な細胞の染色体遺伝子の中に組み込まれていたウイルス遺伝子が活性酸素やフリーラジカルの作用で遺伝子が切断を受けて切り出され、ウイルス粒子が産生されて病気を引き起こすという当時としては革命的な仮説(プレウイルス説)を提唱し、nature誌に10報の論文を発表しています。九州大学の百年の歴史の中でもっともインパクトファクターの高い研究者であったと評価されています。山藤先生のプレウイルス説は染色体という物質からウイルスという生命体が生まれるという点で革命的はアイデアであると評価されていましたが、その正しさが証明された1年後に、フランスの研究者たちが大腸菌のウイルスであるバクテリオファージの正常染色体内に組み込まれたウイルス遺伝子が紫外線で発生した活性酸素種により遺伝子が切断されてウイルス産生が誘発されるという類似のプロファージ説を証明してノーベル賞を受賞しました。
 その後、山藤先生は人のガンもウイルスで起こるというガンウイルス説を提唱され、逆転写酵素の発見によりノーベル賞を受賞したテミンらとともに、テミン・山藤説と呼ばれていたそうです。さらに、山藤先生は遺伝子の切断が細胞分化、抗体産生、ホルモン作用、ガン発生、ガン抑制において重要な働きをするという仮説を提唱され、その仮説の証明のための研究を当時の食糧化学研究室では行っていたわけです。
 しかし、ビタミンCやポリフェノール類は確かにガン細胞を殺しますが、正常細胞をも傷つけますので、大量に投与した場合には細胞の染色体に変異を起こし、逆にガンの発生原因になる恐れがあります。これは抗酸化物質は構造が不安定なために、フリーラジカルや活性酸素種を生成しやすいということに起因します。これを食品中の抗酸化物質の諸刃の剣的性質と呼んでいます。食品成分に抗ガン作用を期待する場合には単独で摂取するよりも様々な抗酸化物質をバランスよくとることで諸刃の剣的性質を和らげることが重要だとされています。こうしたことから、ガンは現代医学で根治することが困難な病気ですが、食品であっても予防は期待できるけれども、実際にガンになった方の改善に利用することは困難であろうと思っていました。そうした私の考えを一変させたのが還元水についての研究でした。水の電気分解で生成する水素を大量に含む電解還元水(アルカリイオン水とも呼ばれます)の大量摂取(一日4〜5リットル)によりガンが消失したという体験談を数多く聞くようになりました。実際に、調べてみますと、電解還元水が活性酸素消去作用をもち、ガン細胞の増殖抑制、転移・浸潤能抑制、コロニー形成能抑制、正常細胞への分化誘導、腫瘍免疫の活性化などが起こることがわかり、確かに電解還元水が抗腫瘍効果を持つことが分かってきました。電解還元水中の活性物質として水素と金属ナノ粒子に注目した研究を行っていますが、ガン細胞を特異的に殺す作用などが見つかってきています。日田天領水、ルルドの水、トラコテの水、ノルデナウの水などの一部の天然水でも多くの人の体験談としてガンが消失した、縮小したという話を多く聞きますので、そうした作用を持つ水を還元水と総称してそれらの作用機構を調べているところです。
 これまで述べてきた経緯から、一日2リットル程度の飲むことでガンの予防に効果があり、また初期や中期のガンなら還元水を大量に飲むことで消去できる可能性があると確信するようになりました。しかし、末期のガン患者の場合はガンの勢いとの競争になりますので、還元水だけでは弱いのではないかと思うようになりました。特に、体力が弱って水も飲むことが困難になった患者さんには手のうちようがなくなってしまいます。そこで、末期ガン患者さんでも助けることができるもっと少量でガンに効く物質はないだろうかと思っておりました。その頃に、国立九州ガンセンターの医師が酵素消化低分子フコイダンを患者さんに飲んでもらったところ、ガンが短期間で消失したということでその作用機構を調べてほしいという依頼がありました。とくに、一日数百mlの少量の飲用で効果があるということに興味を引かれ、調べてみますと、還元水よりも強い活性酸素消去作用があり、ガン細胞の増殖抑制、細胞死誘導、転移・浸潤 能抑制、血管新生抑制などの強い抗腫瘍効果が認められました。マウスを用いた実験でも顕著な効果を確認することができました。患者さんが
飲まれて いる製品が安全かどうかを調べるために、枯草菌を用いた突然変異誘起試験をしてもらったところ、まったく突然変異誘起作用は認められませんでしたので、遺伝子損傷を起こすことはなく安全であると判定されました。マウスの一過性毒性試験でも各組織にまったく異常は認められませんでした。現在は数十名の臨床医の先生方が実際にこのフコイダン液をガン患者さんの治療に利用されて多くの成果を挙げられています。西洋医学とそれ以外の医学を組み合わせた統合医療が現在注目されていますが、これからの医療は統合医療が中心になるだろうということが2008年12月に開催された第1回日本統合医療学会(会長:九州大学医学部付属病院長)で強調されていました。
 ガンは生き物です。ガンを殺そうとするとガンも生き残るために様々な戦略を使い変化していきます。ですから、放射線や抗がん剤だけでガンを根治することは困難であろうと思います。ガンを克服するには多方面からガンを封じ込める戦略が大切であると思います。様々な成分を含み、多方面からガンを抑制する酵素消化低分子フコイダン液は確かに有効であると思いますが、さらに他の方法とも組み合わせながら総合的にガンを抑制することが必要ではないかと思っています。ガンは心の病気とも言われます。ストレスをためない生活習慣を心がけることも大切です。ガンという病気に立ち向かうときには素人考えで自己流の治療をするのではなく、専門の医師(最近は統合医療に理解のあるセカンドオピニオンの医師の診断を容易に受けられるようになってきています)に相談し、アドバイスを受けながら、自己責任で治療を受けることが必要かと思います。そして、ガンは克服できる病気であると確信し、良い治療法を信じて受け入れることが大切だと思います。信じることができない人はどのような治療法でも高い効果は期待できないと思います。しかし、一方で妄信してもいけないということもあります。西洋医療を拒否するのではなく、正しい知識に基づき、より良いと思われる治療法を選択する冷静さも必要になってきます。 以上、初めてのプログですが、今日はこの辺で筆をおきたいと思います。