2009年7月14日火曜日

「糖鎖」に作用し、ガンを正常細胞に戻す

糖鎖とは対内のすべての細胞膜の表面にある「産毛」のようなものです。体内の8種類の糖分子(グルコース・ガラクトース・マンノース・フコース・キシロース・N-アセチルグルコサミン・N-アセチルノイラミン酸)が鎖のようにつながってできています。

今、この糖鎖の働きが研究者たちに注目されています。糖鎖は人間の体にある細胞全体のネットワークにおいて、細胞同士の情報伝達を行っています。たとえば、体内に侵入してきたウィルスや異物、あるいはガン細胞への変化を関知し、様々な免疫細胞に知らせ、免疫システムを活性化させます。また、ホルモン分泌系にも働きかけ、体が必要としているホルモンを分泌させます。さらに、神経細胞にも糖鎖はくっついていますので、神経情報の伝達にも欠かせない役割を担っています。

糖鎖は生命システムの根幹を成しており、構造を分析していくことで、難病に対する有効な薬剤の開発が可能になると考えられています。
正常な細胞がガン細胞に変わると、レクチンという糖鎖結合タンパク質との結合性が変化することから、ガン細胞の表面の糖鎖構造が細胞のガン化によって変化することが古くから知られています。
ガン細胞に低分子フコイダンを作用させると、レクチンタンパク質との結合性が変化し、ガン細胞が特異的にアポトーシスを起こしやすくなることを、私たちは発見しました。
しかし、低分子フコイダンは正常細胞のレクチンタンパク質結合性には影響をあたえませんでした。ガン細胞と正常細胞の違いを見分けるというのは、じつは科学的には非常に難しいことなのですが、フコイダンはしっかりと細胞の違いを見分け、ガン細胞にだけアポトーシスを誘導するといった選択性を持っている可能性があります。

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